東屋 / 猿赤
横木どりの漆椀
猿赤、はじまる。
デザインは猿山修、塗りは赤木明登うるし工房、それぞれの頭文字をとって猿赤。かなり前から存在する物ではありますが、その生産は不定期で数量も少ない事もあり、長らく限られたお店でのみ取扱される物でした。そして2018年よりスコープでも取扱できる事となりました。とはいえ入荷は1年に1度あるかないかという話ですので、欠品しました後の再入荷については僕らもなかなか掴めません。能登産の欅(ケヤキ)の原木を繊維の走る方向に切り出した板から「横木どり」と呼ばれる手法で丁寧に削り出された木地には、縁から高台まで美しい木目が浮かびます。通常、椀の多くは「縦木どり」。猿赤のそれとは異なります。椀の木地は時間をかけて乾燥させ、その上で歪みが生まれにくい「縦木どり」にて木地を削り出します。そこに漆を重ね塗りしますから歪まない椀が出来上がるのですが、猿赤ではあえて「横木どり」を採用することで木目が綺麗に見え、歪みも含めて木の持つ自然な特性と風合いを生かすこととしています。動かない縦木どりの椀にも良さがあり、動く可能性のある横木どりの椀にも良さがある、という事でしょう。僕自身が長らく使っていて思うのは、木の生える方向として考えれば縦木どりの方が自然なのだろうけれど、横木どりの木目の方が、僕にはどうも自然に見え、確かに美しく感じます。多少歪むかもしれないとはいえ、漆を重ね塗りしていますから、そうそう歪むこともないように思います。ただ、物にはそれぞれ合う合わないがありますから、そんな物作りの方向も含めて良いと思えばご検討下さい。
椀、麺鉢
木椀のよいところ
木椀は軽いので食べ物が入っていても手に持ち易いし、料理をよそっても陶磁器の器より料理が冷めない。また熱い汁物を満たしたとしても、手に持つことができるぐらいですから、そこまで温度は上がらない。軽くて持ち易く、料理は冷めないし、器は熱くならない。木の器の良さというのは、そこにあるのでしょう。最高な道具です。とはいえ、使っていけば段々と劣化していく物でもありますから、それなりに手間暇かけて作られた良い物を手にしないと、使い捨てになりがちな物でもあります。猿赤は口縁や高台に「布着せ」を施して強度は上げられていますし、下塗りから仕上げの上塗りまで全部で九回の塗りを重ねています。「叩き塗り」「研ぎ」といった職人による手仕事を積み重ねる事により、使うごとに光沢や深みが増していく一生ものの器に仕上げられています。漆器の中にあって、繊細で上品な物といった方向ではなく、少し豪快な力強い雰囲気を醸す物。とはいえ、スコープの選んだ物で埋まる生活の中にあっても浮く事なく、東屋の物、古物、はたまた北欧の品々と共にあっても、どこか自然で良い感じに使えております。洗う時に硬いスポンジでゴシゴシ洗わず、優しく洗ってやれば、いつまでも使い続けられるんじゃないかと、そう感じます。食洗機にはいれたくないです。
麺鉢と飯碗あれば
男生活は満足できる
応量器と呼ばれる漆器のいい物を一組持っていれば食器で困る事もないし、使い勝手もよく、それで十分に満足できると言われて長いのですが、それを手にしないまま今に至り、猿赤を愛用するようになり、洋食器でいう所のパラティッシオーバルプレート25cm的な万能感を猿赤の麺鉢に感じています。十分な容量がありますから、麺類、丼物に適しているのは当然ですが、豚汁を豪快によそって、おかずとしていれば何だか健康になっていくかのようで気分がいいです。猿赤の麺鉢で豚汁、これが僕にはとてもシックリきています。豪快な雰囲気を伴う、大は小を兼ねる的発想の、食器良品1点手にして快適新生活。男子の一人暮らしであれば、こいつは最高潮に便利です。今後何かに買い替える必要がないというのも、果てしなく無駄なく良いのではないだろうか。猿赤の麺鉢を買い、豚汁の作り方とご飯の炊き方を覚える。昔に戻り大学生活、独り暮らしを始めるのであれば、こんなスタートを切ってみたい。
- ブランド
- 東屋 (あづまや)
- デザイン
- 猿山 修 (さるやま おさむ)
商品スペック
- 材質
- 欅、漆、木綿、珪藻土、米糊
- 寸法
- 椀 : 約φ120×H75mm / 約70g / 容量:400ml
麺鉢 : 約φ150×H105mm / 約200g / 容量:850ml - 生産
- Made in Japan
- 備考
- 電子レンジ × / 食器洗浄器 ×
購入前に確認ください
- 塗りの厚みの違いによる段差がみられます。
説明書ダウンロード : 猿赤
個別販売商品
個別販売とワケアリの考え方 (必読)
個別販売というのに燃えています。バードなどに取り入れている全て個体撮影をしちゃいますよ的な甘栗むいちゃいました的なやたら手間の掛かる手法なのですが、物によっては、その激しい個体差を「どうぞ味としてお楽しみください」の一言で片づけるには少々強行突破過ぎますよね~と僕は感じますからチマチマと個別に撮影をしましてそれぞれの味をじっくり噛みしめこれと思う、我が味をピックアップ!最も気に入った個体を迎え入れるがベスト電気!を可能とするべく日々精進しております。そして、これから徐々に対象商品の幅を広げていこうと考えてますから、ここで一度、個別販売と訳ありについての考え方を説明しておきます。実は個別販売をスタートするまでに紆余曲折し現在の形に至っています。最初は少しでも好みの物をお届けできればと、系統分けをしまして、ワケありも同時販売で進めましたがその区分をしている時に、ん!?と気づいた事があったのです。その系統ワケ、ワケありの区分。その区分が人によって全く違う、全然違ってくるのです。僕にとってはワケありであっても別の人にはワケがない。むしろ、それがいいんじゃないとなり、逆に僕の選んだ物の方がイヤだとそんな事が多発してしまいました。そりゃそうですよね。みんな好みは違いますから。それで全在庫を個別撮影し全てから好きな物を選んでもらう個別販売をスタートしました。つまり系統分けもなければワケありもない、区分が何もない。多くの方がストックから好みの物を選び、手にできるようになったからそれは素晴らしい事ですが、当然、選ばれなかった物は残ります。段々と皆に選ばれない物、つまりは多くの人にとってワケある物の集合となっていきます。だから、その選ばれない物を選ばれない真の「ワケあり」として少し価格を落としましょうかとそんな仕組みとすることにしました。とはいえ、これはシエッポ発売時に気付いた事でシエッポ第一弾やアルエの発売時にはそれを伝えて販売開始しているので、それなりに共有できているとは思いますが今後は個別販売全体に取り入れていきますから、ここで皆さんにもう一度説明をしてみています。個別販売はとても素晴らしい。素晴らしいのですけれども残る物はずっと残り続けます。そしてそれが降り積もっていけば残り物の塊になってしまいます。それを常にリフレッシュしないとこの個別販売の企画は続かない。だから定番バードも在庫が少なくなってくると入荷するのですが、その入荷するタイミングで残っていた物は少しお手頃にする。そんな仕組みにしたいと思います。そうしないと選ばれない物の集合体になってしまいますから。ですから、ワケアリでもいいからお手頃に買いたい!って人はズバリ!待ってればいいんです。売り切れなければ価格が落ちます。残り物には福がある、ですしね。そして案外、大きなガラス作品はあまり完璧ではない荒れた作品の方が、いい味を出していたりもしますからねぇ。ただ完売してしまったらゴメンナサイですが。その値下げという事を今まで殆どやらずにいましたから今後はそのように進めていきます。