SCOPE / 六寸皿 印判鳥獣五画
複数枚併用のススメ
和食器には全て同柄ではなく、各々に少し違った柄で組になっている物があります。その考え方は実に素晴らしいと思っていて、僕は凄く影響されています。同じなんだけど違う、その方向を僕なりに増幅しましたのが印判鳥獣五画という直径18cmの平皿群です。図案を描いてくれたのは世界に名を馳せるデザイナーのクラウス・ハーパニエミ。5種類の異なる動物、各々に異なる縁飾りをデザインしてもらい、それを僕なりにベストバランスで配置しました。直径18cmの平皿は、おかず用としても取皿としても使えるので用途が広い。つまり、いいサイズです。そして、このお皿がなにより映えるのは5枚一緒に使う時、複数同時に使う時です。ちらし寿司や手巻き寿司の銘々皿として使いましたら実に素晴らしい見栄えとなります。だから、なるべく違う柄で複数枚持っていてください。3枚か?5枚か?割れない枚数、いいと思います。
ハーフは料理を選ばない
このお皿が完成した時、凄くよいお皿が出来た!と自分でも思いました。でも、このお皿に何を盛る?総柄だから使いにくいんじゃない?そんな意見が周りから聞こえてくるので、実際に使ってみるまで僕自身も不安を感じていたのですが、試作が届いて使ってみれば、それは心配無用の超重宝の結果となりました。全面柄ですが単色ですからそんな料理を邪魔するわけでもないですし、総柄の染付皿なんて和食器の主流みたいな物だから使いづらいわけが無いです。この六寸皿、とにかく使えます。一人前の焼き魚やおかずを盛りつけましても、数人前の酒の肴を盛っても絵になります。天ぷらも刺身も立派に見えて雰囲気が良いです。そしてまた取皿としても使い易い大きさでもあります。そして、このお皿の雰囲気は色々様々な料理が登場する僕達の食生活に幅広くマッチしてくれます。和食、中華、アジアン、イタリアン、どんな料理を盛りつけましても似合ってくれます。デザイナーのクラウス・ハーパニエミを通して海外でも一部販売しているのですが、とっても好評だと聞いていますから、そのマッチングの良さはワールドワイドです。日本のお皿に洋の図案を取り入れた和洋ハーフのような食器になっているのが良かったんだと思います。こういった構成のスコープ的物作りの発端ともなっています。
人気の柄
5種類の図案のなかで、僕自身が最も気に入っているのは「Peaock」です。これにも縁飾りはデザインされていたのですが、敢てそれを無くしました。本当に素晴らしい出来だと思っていて心底気に入っているのですが残念ながら一番人気はありません。その次に人気がないのは「bee」ミツバチたちです。ミツバチはクラウスがよく好んで使うモチーフですが、昆虫が苦手な人もいるからか人気ふるわず。でも、トースト用に使いましたらハチミツトースト、近くにハチミツあるのも可愛いですし、いい雰囲気だと思います。残りの3柄「deer」「cuckoo」「rabbit」の人気は似た感じ、抜きつ抜かれつ3種が人気一位です。「cukoo」はスコープのスケジュールノートから始まり、印判小皿も作り続けているスコープの人気柄。「rabbit」はクラウス・ハーパニエミのブランドを代表する図案でもありますからブランドの人気柄。そして以外な人気柄が「deer」です。これは特にスコープスタッフに評判でして社内人気柄。人気に差はあるんだけど、結局のところ、どれもイイ柄なのです。
材料から生産まで純国産の日本製
ほぼハンドメイドといえる量産品
この五枚の図案を完成させるのに、膨大な時間と経費を費やしました。スコープ史上最大のつっこみっぷり。図案完成まで、実に3年です。クラウスとは日本で何度かミーティングしその後、やっと届いた初回提案の五柄が僕の意図した方向と全く異なる図案だったため、全てを即ボツにしたことから冷戦突入。それから沈黙の一年間を経て和解して、今度は僕がロンドンへ赴きました。前回の失敗を糧に、こう描いて欲しいと手描きのラフを渡し、細かく希望を伝えるために。それでクラウスが期待以上の図案を描いてくれて、各柄に合わせた縁模様の準備もしてくれました。柄と縁のバランスについてはスコープの好みですから、一貫したルールはありません。こうして、文章で書くと短いんだけど、実に長い道のりでした。また、制作は全て東屋さんにお願いし、型から新たに作って貰いました。洋食器のようには高台を広げず、少し高めに作ってあるので和食器らしい雰囲気を保っています。テーブルに置くと他の平皿とも少し高低差が生まれ、そこがまた美しいです。材料は熊本県の天草陶石、成形には型を使われていますが基本は手作業です。現在では職人さんも減少の一途を辿る水ゴテで成型されいます。高い技術を必要としますが、石膏型で成形でき、型代も安く小回りが利きます。消えつつある製法を残す目的で、印判鳥獣五画は水ごてでの成型を採用しています。また型で成形して完成ではなく、削りの作業を入れ、縁の厚みやライン、高台を一枚一枚綺麗に仕上げます。勿論、転写も人の手で行いますし、裏の輪線も一本一本手でひきます。施釉の工程も、全て人の手により行われています。昔から続く手法を大事にして完成に至る、純国産の日本製です。この六寸皿は、現在を写す印判皿の一つとして未来に残ってくれそうな気がしています。
2022年9月8日
アトリエフィンネ風
あれは2015年の出張、ヘルシンキのレストランアトリエフィンネで見た六寸皿鳥獣五画のデザート使いが印象的で、時折思い出します。先日スタッフ松尾が、フィンランドのスパイスケーキを焼いてきて「フィンネ風デザートやりましょうよ!」って張り切り出したので、とても腰の重い私が、6月から冷凍庫で眠らせていた庭のジューンベリーの救済を兼ねて、松尾の指示に従い雰囲気でフィンネ風に寄せてみました。アトリエフィンネのシェフは、2019年冬にスンヌンタイのクリスマス企画で来スコしてくれたアンットさんのお店。鳥獣五画のデザイナーである、クラウス・ハーパニエミが自身でプレートを持ち込み提供してくれたとか。我が家ではお好み焼きの取り皿が日常風景の鳥獣五画でしたが、キラキラしたベリーソースとゆるめに立てた生クリーム、フィンランド風のこんな使い方に、新たな一面を発見。今回真似てみて、印判鳥獣五画はやっぱり素敵だなと思えました。シャチョウ曰く、傑作!の印判鳥獣五画ですが、その中でも傑作中の傑作と語っているのが「peacock」孔雀柄です。人気の方はと言うと、他に比べて何故かイマイチ~。しかし制作時のシャチョウ熱が伝わってしまったのか、私もやはりpeacockが大好きで、今日も気が付けば選んで使っていました。逆さまで!(スコープ酒井)
- ブランド
- SCOPE (スコープ)
- デザイン
- Klaus Haapaniemi (クラウス・ハーパニエミ)
- 製造
- 白岳窯 (しらたけがま)
- 製作
- 東屋(あずまや)
商品スペック
- 材質
- 磁器
- 寸法
- 約φ180×H30mm / 350g
- 生産
- Made in Japan
- 備考
- 電子レンジ ○ / 食器洗浄機 ○
購入前に確認ください
- 絵柄は印判という手作業による手法で染付しています。色の濃淡、柄の抜け、滲み、切れ等の個性があります。《印判について》
- 小さな黒点やピンホール、多少のがたつきは良品としています。
単品
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peacock
3,000円 (税込) -
bee
3,000円 (税込) -
deer
3,000円 (税込) -
cuckoo
3,000円 (税込) -
rabbit
3,000円 (税込)
5枚組
-
印判鳥獣五画 5枚組
15,000円 (税込)