2020年12月7日
僕的普通な空間はTOU少々
SRサイドチェアは、そもそも撮影スタジオ兼スタッフナルト宅の洗面スペースで愛用されていたのですが、アルテックとヴィトラの家具が主となるスコープアパートメントにも、このTOUを組み込みたくなった僕がスコープアパートメントへ移動させ、いつも座っているダイニングスペースへ組み込み、借りたまま日々愛用を続けて、今もそのままにしています。世ではこれを借りパクといいます。そもそもアルテックのテーブル周りに椅子を置かず、スツール60リノリウムのみを4~6脚つねに置いて食事していました。それは統一感があって見た目にも整っていたし、空間もスッキリ広く見えるし、使い勝手もよかったから不満なんて微塵もなく、完璧!と気に入っていたのですが、そこにTOUのSRサイドチェア1脚を加えましたら、どこか気が抜けたといいますか、特別感が薄らいで普通になったといいますか、和んだといいますか、自然になったといいますか、とにかく僕的によりよい普通感が出てくれたのです。少しズレた話ではありますけれど、この文章を書いていて思い出したので書いておきます。昔オイバ・トイッカがこんな話をしてくれました。《いつものコーヒーテントでコーヒーを飲んでいたら日本人の男性が話しかけてきて、あなたはあの有名なオイバ・トイッカさんではありませんか?っていうんだぞ。笑えるだろ。》オイバのそういった部分が好きです。立派であり特別であるより、普通でいい、普通がいい。スコープアパートメントで目指しているのは、自分がいいと思えばそれでいいという僕的普通な空間、のようです。背伸びしていない、頑張ってもいない。で、整えていない時にもイイナって思える瞬間が常にある、そんな僕的普通な空間。TOUのような籐家具というのは綺麗に整いつつある空間をイイ感じに普通方向へと少し引き戻してれくるような効能を備えていると、この場所を見て思いました。よくわかんないですよね、すみません。どこか揃いきってしまわないぐらいが丁度良いと僕は思うようです。完璧ではない塩梅が丁度良くて好みなのだと思います。かといって全てバラバラなのは嫌なんです。コレクターの家みたいなのもどうも落ち着かない。綺麗に整っている中に僕なりの点を加えて、張りつめていた雰囲気が少し和む。今はそんなバランスが僕的普通な空間、つまり理想になっているようです。それは僕がそう思えばそれでいいだけでして、またそれは年を重ねるごとに変化していくのだと思いますけれど、2020年末頃はそんな感じに思っています。(シャチョウ)