2020年9月17日
アクアとアイス珈琲
カルティオをよく使ってます。特に夏はアクアがお気に入りです。スコープ別注色をみればわかる通り、明るい色より重い色が好みなので、アクアは僕の的からは外れているのですが、アイス珈琲をたまたま注ぎましたら素晴らしく良かったのでアイス珈琲にはアクアをよく選びます。とても薄くて明るいブルーながら、アイスコーヒーを注ぎますと底と口元が普段より濃いブルーとなり、他部分はなんだか透明のようにも見えます。薄い色はここがよい点で、口元がブルーのリングのように見えて素敵です。見た目には小ぶりな印象をうけるカルティオタンブラーですが容量は200mlあり、特別小さい訳でもないので氷なしのアイス珈琲には丁度よく、また350ml缶を二人で分けましたらジャストサイズ。きっとこの絶妙なサイズ感が、多くの人に支持されているポイントなのだと思います。大きなグラスに慣れていても、使い続けていれば気に入ってしまいコレが丁度よくなっていくのです。(シャチョウ)
2020年9月16日
成戸家のフェスティブ
シャチョウは当然だと思いますが、いままでオイバとシャチョウが過ごした時間を周りで見ていた我々スタッフにとってもまた、このバードには特別な思いが詰まりすぎている。個体がお披露目されたその日からスタッフという立場を忘れ、マジモードでゲッツ参戦しています。皆様どうかお許しください。丸くてゆるいライン、優しく鮮やかな色の組合せ、スタッフの贔屓目抜きにしてもこれは最高のバードですよ、もうこれは、イヨッ、シャチョウ!いい仕事しやしたねぇ?素直にひれ伏し、感謝したい。そんな私が血眼でゲットしたパクス、頭と体と尾のバランスがよくて尾っぽの色形もグッドな豊満バディボヨヨ?ンと来まして、さらにはバースデーシリアルですぞ。はい、可愛いー。完全親バカ状態に陥るのはバードあるある。そんな愛するバースデーパクスをゲットしたにも関わらず、その後もどんな子が残っているか気になり脚繁くページに通う。気づけば、ずらり並ぶ個体から好みの子を探してる自分が。そして一般販売を前に、あろうことか、うっかり、うっかり?さらに一体、お招きしちゃった。どうした私!?あれ、前に買ってませんでした??訝し気な表情を浮かべるスタッフに私ボケたと思われてる??そんな不安もよぎりましたが、良いんです。大丈夫。これは予備を持つに相応しい特別なバードなんですと、自分に言い聞かせてます、ハハハ。皆さんの選んだパクスも、それぞれの個性が光ってて、そんなポストを眺めるのも幸せ。そう、このバードは見ているとなんだか幸せな気持ちになる。そんなところがサイコーなのです。(スコープ成戸)
2020年8月28日
東屋のちゃぶ台に輪じみが付いたらどうしましょう?
以前のBBSにて質問があり、おしぼり案件としてお預かりしていた「ちゃぶ台に付いた輪じみの直し方」についてスコープの家具の試作でお世話になっているコンセントファニチャーさんに直し方を教わりまして、コロナ自粛でヒマを持て余した夏休み期間中に試してみましたのでその結果をご報告いたします。
先に結果を発表しますと結露による水の輪じみは直せましたが、コーヒーの輪じみは跡が残りました。どちらも液体が乾く前に拭き取れば目立つ跡は残りませんのでさほど神経質になる必要はありませんが、問題は液体が乾いて表面の油分が円形に抜けてしまった時。写真と共に直し方をご案内していきますのでぜひ参考くださいませ。
もくじ
・実験1 冷たい飲み物による結露の輪じみ・実験2 コーヒーによる輪じみ・まとめ・水より金属に注意
【 p.s.おしぼり 】4040は別の方法で
実験1 冷たい飲み物による結露の輪じみ
今回、実物を使うわけにはいかなかったので東屋のちゃぶ台と同条件になるようコンセントファニチャーさんに製作いただいたかんな仕上げのナラの板をちゃぶ台の天板に見立てて実験開始。胡桃油を塗って乾燥させた後冷たいグラスを置いて放置して輪じみを再現します。
カルティオを載せてみた
夏場によくある現象
数十分後には結露による濡れた輪じみが。この段階で拭けば被害はほぼなし。問題はこのあと。うっかり放置すると、
あちゃー
こうなります。角度を変えてみると油分が抜けて白っぽくなっているのがわかります。油分が抜けたのならまたオイルを塗れば直る?と思ってしまいますが、いきなりオイルを塗るのは「それダメ」行為。理由は後でご説明します。まずは水で濡らすように全体を拭きます。
比較用に中央の輪じみは濡らさず、マスキングしています
布は濡らして軽く絞った程度。びちゃびちゃでも大丈夫です。実際のテーブルの場合、輪じみ一つでもテーブル全体を水拭きしましょう。 特に輪じみ周辺はゴシゴシ拭きます。こうすることで輪じみ部分とオイルの残った部分の境目がぼやけ目立ちにくくなります。でも濡らしたら乾いたときに木が毛羽立つんじゃ?と思ってしまいますが東屋のちゃぶ台はかんなで仕上げているためこの心配はありません。安心して乾燥を待ちましょう。
乾いた状態(手前) 合間を見て奥では次の実験用にコーヒーの輪じみを再現中
乾かすと中央の輪じみと比較して手前の輪じみが周りに馴染んでほぼ消えているのが分かります。よく乾燥させてから、アマゾンで買った胡桃油をウエスで薄くて塗り伸ばし余分な油をふき取り乾燥させます。
胡桃油はメンテ用に一本持ってるといいですよ
天然の油は乾燥が遅いので数日の乾燥が理想です
手前の輪じみは見事に消えました。比較用に濡らさなかった中央の輪じみはあえてそのまま胡桃油を塗りました。これをやってしまうと写真のように輪じみは消えず残ってしまいます。輪じみにいきなりオイルを塗ってはいけない「それダメ」の理由がこれ。まずは水を塗って輪じみの境目をぼかしてなじませるのがキモです。
中央の輪じみのように水拭き前にオイルを塗ってしまった場合でも最終的に同じ方法で直せますので、一旦置いて次のコーヒーの実験に移ります。
実験2 コーヒーによる輪じみ
先ほどの板の空いたスペースにコーヒーが垂れた輪じみを再現。水よりも色が付いた感じがわかります。
中央と比較すると濃いです
まずは結露の輪じみと同じくたっぷりの水で拭いて乾くのを待ちます。
馴染んで目立たなくはなりましたが残念ながらうっすらと円形に跡が残っています。色が付いた液体が木の内部に染み込んでしまうためでしょうか。コーヒーでこの結果ならば醤油はおそらくこれ以上に目立つでしょう。水拭きの手法ではこれが限界です。
これ以上直そうを思うと削るしか方法がありません。東屋のちゃぶ台はかんなで仕上げているのでかんなをかけて削るのが理想ですがこれは職人さんにお願いしないとまず無理です。サンドペーパーで削ることもできますが個人的には折角のかんな仕上げに余計な手を加えたくないので僕ならここでオイルを塗って良しとします。が、 サンドペーパーを当ててでも直したいというケースもあるでしょうし、どうなるのか見てみたいという興味もあるのでさらに実験を進めてみます。
サンドペーパーとウレタンパッドを用意
ペーパーを軽くすり合わせてざらつきを取ります
用意したのは#320のサンドペーパー。この手の修正には一般的に#240〜#400あたりの番手がベストなので中間をとってみました。サンドペーパーは使い始めが一番ザラザラしていますでサンドペーパー同士をこすり合わせてざらつきを取ってから使うと木にペーパーの擦り跡が付くのを抑えられます。
ペーパーはウレタンパッドを当て木の代わりに使うと当たりがソフトです。ランダムに磨かず、木目の方向にペーパーを当て磨くとより擦り跡が目立ちにくくなります。ペーパーで削った部分は白っぽくなりますが折角かんなで仕上げた材の全体にペーパーをかける訳にも行かないので輪じみ部分だけに留めます。
マステを外した手前が全体的に白っぽいのは水拭きによるもの輪じみ周辺の白っぽいのがペーパーをかけた部分
比較用に残した中央の輪じみも含め全体的にもう一度水拭きしてよく乾燥させてから胡桃油を塗ります。
中央の輪じみも直したいので全体を水拭きします胡桃油を塗る前にしっかり乾燥させましょう
胡桃油を塗って完成
胡桃油を塗り終えて最終こんな感じです。コーヒーの輪じみがあったのは左手。うーん、そのままよりは薄くなった気がしますがよく見るとまだ若干跡が残っています。右手と中央にあった結露の輪じみはよく見てもわからないレベルで元通り。ここで実験終了です。
まとめ
東屋のちゃぶ台に付いた結露の輪じみは水たっぷりで水拭きし、輪じみの境目をぼかしてなじませ乾燥させた後、胡桃油を塗れば直ります。コーヒーの輪じみの場合も同じ手法で直しますが、胡桃油自体の保護力が強くないので材に色が付き若干の跡が残ります。サンドペーパーを当てれば多少改善するものの完全に跡を消すのは難しいとお考えください。
またサンドペーパーを当てた部分を光にかざすと周辺に比べ、ほんのわずかですが艶が下がっているのが分かります。水拭きして胡桃油を塗る方法でかなり目立たなくなりますのでかんな仕上げの綺麗な艷を保ちたい場合はサンドペーパーの使用はおすすめしません。
水より金属に注意
液体以外で気を付けたいのがヘアピンなどの金属類。濡れた状態で天板に置いてしまうと簡単にサビ跡が付き、木の中にも浸透するので水拭きでは何ともならず、多少表面を削ったぐらいでは取れません。お風呂上がりや洗顔後にうっかり置いてしまわないようご注意を。僕も過去にオイルフィニッシュのタモ材にスプレー缶を長時間置いておいたら丸く黒い跡をつけてしまった経験がありますので空き缶なども注意が必要です。
【 p.s.おしぼり 】 4040は別の方法で
スコープの4040テーブルは欧米産のオーク材(日本語でナラ)で、東屋のちゃぶ台は国産のナラ材。どちらもオイルフィニッシュなので同じものと思われるかもしれませんが4040テーブルはサンドペーパーの親玉のような機械で削るサンディング仕上げであるのに対し、東屋のちゃぶ台は人の手によるかんな仕上げ。完成した姿はどちらもツルツルして見えますが前者はザラザラしたもので削り、後者は刃物で削っていると言う違いがあります。加工法の違いに加え、塗っているオイルの性質も異なりますのでこのページの輪じみの修正方法は4040には当てはまりません。4040のオークについては4040のメンテナンス方法をご参考くださいませ。
2020年8月4日
カサカサしてきたらコスコスしてツヤツヤ
以前、スコープの先輩スタッフ鈴木が、お昼のお弁当を食べ終わった後に、ランチクロスで東屋の木箸を磨いているのを見かけたので「何してるんですか??」と聞いてみると、「磨くとツヤが出るからヒマな時に磨いてる。」と言う返事が返ってきました。東屋の木箸は『木を磨くことにより艶をだした無塗装の箸である』と、このページを熟読して知ってはいたものの、使いながら磨いていく事で更に艶が出るのかと、その時初めて知りました。洗った箸を拭いた事はあれど磨くなんて発想をした事がなかったので、全く新しい生活習慣でしたが、鈴木パイセンに習い、自宅のカサついていた木箸を手ぬぐいで磨いてみる事に。木箸をしっかり挟みコスコスと夢中で磨いていますと、摩擦熱で箸が温かくなった頃、手ぬぐいから艶めいた木肌が再登場。えっ!ジブン、そんな子やったん?とヘタな関西弁が出る程の変貌。自宅では販売終了している、欅・グラナディロと、黒檀の3種を使っていますが、特に黒檀の艶めき具合が素晴らしいのです。(上の画像右から2本目がスーパーコスコスを施した後の黒檀)オイルもつけず手ぬぐいで磨いただけでこの艶。手触りもツルツルです。無塗装木箸の良い所はメンテナンスをすれば元に蘇るどころか、さらに良い箸に成長するところ。しばらく使っていてカサつきが気になってきたら、是非コスコスしてみてください。(スコープ酒井)
2020年6月19日
積み上げるが全てではない。
アニュアルキューブを飾ることを考えますと、どうにも積み上げたくなります。これは僕だけでなく、誰もがキューブを見れば積み上げてたくなるのだと思います。そこを目指せないのなら買うべきではないぐらいに思ってしまいます。そう考えてしまうのも全てはフィンランドで目にするアニュアルキューブのどれもが積み上げられているからでして、僕らがフィンランドで撮影したキューブの写真はどれも積み上がった姿ばかり、僕らの撮影するイメージも右にならえで積み上げた写真ばかりだからです。アニュアルキューブのデザイナー、オイバ・トイッカも自宅では壮大に積み上げていましたし、石本藤雄先生の自宅でもキューブは積みあがっていました。フィンランドの友人宅もしかり。フィンランドにある全てのキューブは積みあがってるんじゃないか?ってぐらいに積みあがっているキューブワールドですから、皆がそう思ってしまうのです。でも飾り方はそればかりでもないんじゃない?それで今回試した飾り方に至っています。といいましても積み上げず、並べただけなのですが。日本は地震もありますから、積み上げるのは素敵だと思っても、そうするにはナカナカ勇気がいります。かといって接着するのは躊躇われる。それで少し隙間をあけ、均等に並べました。これであれば重く小さく低いキューブですから多少のことでは落下することは無いでしょう。そしてキューブは大きな物ではありませんから、窓の枠に少し余裕があれば、写真みたいに飾ることができます。窓枠には光が入るのですからキューブがよりよく映えてくれます。スコープアパートメントでキューブを飾った窓枠は幅13cm。かなり余裕がありますから、窓枠10cmもあればいい感じに飾れます。また目線より下に飾るのでしたら、積み上げなくても十分にその素敵さは発揮されるようです。横から見るのではなく、上から見下げる位置に飾りますと、側面だけでなく、上面も視界に入ってきますので、その反射も含めて積み上げずとも綺麗に見えるのです。横に1つづつ綺麗に並べて置くのであれば、積むより何倍も安心して飾れますし、また数も少なくてすみますから現実的です。撮影が終わってもそのままにしておきたいと思うぐらいによかったです。結果、そのままにしてるんだからホント良かったのです。そして窓が目に入るたびに綺麗だなーって思えるのですから実にハッピー。キューブも積み上げるばかりじゃないようです。(シャチョウ)
2020年6月16日
照明に強い色を持ってくる
アイノ・アアルトがデザインした物が好みです。余計がなく控えめで優しいから好きです。素朴なところもいいです。どこかザックリしていて少し大き目な辺りも好感が持てていいです。そして日常にとてもよく馴染むのが格別いいです。色々と丁度いいのです。このAMA500、一目して僕はビビっときました。やはりアイノ・アアルトでした。現在一番気に入っている照明はコレということになります。新たな撮影スタジオとして借りた岐阜の一軒家、ダイニングテーブルの上にAMA500を吊ることは即決でした。アルテックのテーブルの上にAMA500ダークグリーン、とてもよく馴染んでいます。僕はダークグリーンのAMA500を溺愛してしまっています。今のスコープアパートメントはAMA500ダークグリーンが空間の中心にある、ダイニングキッチンのアイコンのように見えています。照明といえばホワイトやブラックを無難に選びたくなるのですが、道はそればかりではなかった。ダークグリーンのような強い色を持ってくるのは想像以上に素敵であることが今回よくわかりました。テーブルクロス、カーテン、そして壁の色や柄を際立たせる方向はよく目にしますが、AMA500ぐらいの大きさと存在感ある照明に強い色を持ってくるだけで、周りの空間がサッパリしていても一気にその場所に個性がでます。照明に強い色を持ってくる、今まであまり考えになかったのですが、実際にやってみましたら素晴らしく良かった。これはやってみないとわからない。周りが綺麗にサッパリ整っていればいるほど、その威力は絶大です。かなり前に買った物なのですがビンテージのBeehiveダークブルーを秘蔵しています。急にそれを吊りたい場所が噴出してしまいまいた。そしてダークブルーを作りたくなる気持ちもよくわかるのです。照明に好きな色、強い色を持ってくる。空間が無難でサッパリしているのなら照明は好きな色を。その部屋には既に好きな色が添えられていれば照明は静かに無難に。バランスなんだと思います。(シャチョウ)
2020年5月23日
Extendable trivet の外れたネジの直し方
伸縮式鍋敷きExtendable trivetのネジが外れるのは使用を重ねることにより
穴が大きくなって緩んでしまったのが原因。穴を埋めてネジを締め直せば簡単に直ります。困っていた方ぜひお試しください!
用意するもの
・プラスドライバー(小さいネジ用)
・爪楊枝
・接着剤(木部用なら瞬間でも白い木工用でもOK)
・カッター(つまようじに筋が入れられるナイフ類)
・ピック(ドライバーセットの先の尖ったやつが使いやすいです)
カッターが無かったーのでマイ小刀を使用
1・広がった穴に接着剤を入れる
ゼリー状瞬間接着剤は1滴入れました。
2・爪楊枝を差し込む
爪楊枝をそのまま刺すとスカスカなので
先端を潰すか少し切り落として刺すと良いです。
接着剤を行き渡らせるよう爪楊枝を回転させて
グイグイとしっかり差し込みます。
しばらく放置してから爪楊枝を回してみて
回転しなければ接着できた目安。
ゼリー状の瞬間接着剤の場合は15分くらい放置しました。
3・爪楊枝を折る
爪楊枝にカッターで一周筋を入れて、
ポキっと折ります。
4・埋めた穴の中心にピックを刺す
ピックで下穴を開けます。
中心めがけてグイっと5、6mm差し込みます。
ネジが刺さりそうなサイズの穴が開けばOK。
Extendable trivetのネジは先端が平らなので
下穴がないとネジがうまく刺さりません。
この作業が今回のポイント!
5・ネジ止めして完成
穴の位置をしっかり合わせて
ネジ止めしたら完成です。
これで抜けてこなければ大丈夫。
きつく締めると動きが悪いので気持ち緩めで。
と、こんな感じです。
瞬間接着剤を使えば30分もかからない作業です。
100均で揃う道具で十分ですので
お休みの日のDIYにぜひ!
スコープで修理を希望される場合は、
送料負担していただきスコープへ送ってください。
修理完了しましたら注文品と一緒に同送するか
着払いでご返送いたします。
まずは修理依頼とご希望の返送方法を
お問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。
2020年4月9日
第64回 日々はつづく
2020年4月1日
4月の食材「ほたるいか」
卵黄とワタの苦味のハーモニー
春を詰めこんだお手軽パスタ!
「ほたるいか」を4月のテーマに!と決めてから、頭の中でいろんな料理を考えていました(漁期が決まっているから試作したくても手に入らないので…)。
そんな脳内シュミレーションがそのままうまくいき、そのハマった感とともにレシピになる料理がたまにあります。今回はまさにそんな感じ。悩んで出来上がるものに対して、写真もその気持ち良さが出たりして、楽しい瞬間だったりします。旬、シュ瞬!にはこんな料理がふさわしいのかもしれないと最後になって思ったりして…。
では、ここからは試作一発合格感を味わっていただくべく、僕の頭の中を実況風に、レシピ書いてみます!
まずは主役のほたるいか、自分の食べたい分量でと言いたいところだけど、目安としたら15はいくらい?春らしい菜の花はひとつかみほど合わせたいところ。あとは、パスタ、卵黄、オリーブオイルに醬油、塩こしょうを準備。
ほたるいかはボイルしたものが売られているのがほとんどだから、美味しく食べるひと工夫くらいは紹介しよう。ひとつずつ手に取って、骨抜きなどで目をポチポチと取り除く、これで口当たりがよくなり、食べやすくなるよね。面倒に思われるかもだけど、食材をちゃんと触って、美味しくいただくための下処理をすることは料理の楽しさのひとつ。これはやってもらいましょう。
さぁ、パスタをゆでてラストスパート。ゆで湯にたっぷりの塩を入れるのは、パスタに適度な塩気を付けるために重要なのでためらわずに。ゆで上がる1分前に、菜の花とほたるいかを投入してさっと混ぜ、タイマーが鳴ったら一緒にざる上げし、器へ。器に盛ってから味付けすればボウルもいらないからいいね。
オリーブオイルを全体にまわしかけ、足りない塩気(一人あたり塩2つまみ位)と粗びき黒こしょうを振る。最後に卵黄をのっけて醤油をちょっと。さぁ思い切りよく混ぜて食べてみる…(想像以上に)うまい!
こんな感じで手軽、でもそのわりにちゃんとして見えるし、すごく美味しいので本当にオススメです。
最後に、今まで旬シュ瞬を読んでくださった皆さん、そして自由に連載をやらせてくださったスコープさん、ありがとうございました。これからもたっぷり中身のつまった「面白い」scopeを楽しみにしております。またいつか一緒に面白いことができたらうれしいです‼
ほたるいかの下ごしらえは丁寧にやるならば、足の付け根にある口と、軟甲(なんこう)と呼ばれる透明な背骨のようなものも、目とともに取り除くとカンペキな口当たりの良さに!といっても目がいちばん口当たりを悪くしているので、最優先は目を取り除くことだと思っています。それにしてもアラビアのAvecは使いやすく料理映えしてくれる器ですね~。
(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク
2020年3月8日
第63回 焼く日
2020年3月1日
3月の食材「鯛」
肩の力を抜いた簡単な鯛料理、
それが鯛茶。やるっきゃない!
お祝いの料理によく出てくる魚と言えば「鯛」ですよね。紅白の色合いが華やかで縁起が良く、“めでたい”という語呂も重なることから、いまも昔も変わらぬ縁起物のお魚というわけです。
そんな鯛の旬は、まさにいまの時期からはじまります。春はお祝いごとも多いからタイミングはばっちり!
じゃあ、さっそくお祝いの席にぴったりのキリリとしたカッコよい料理を紹介しようか、とも思ったのですが、今回はちょっと肩の力を抜いた鯛料理にすることにしました。鯛の刺身を用意すれば5分もかからず出来てしまう、『鯛茶漬け』なんてどうでしょうか。
魚料理って難しいイメージもあるし、そのまま焼くか煮るかの選択肢になりがちだったり、胸を張って「楽しめている!」と言える人は少ないんじゃないかと思っていて。それなら、幅を広げるアイデアとして、「刺身をうまくアレンジする料理」を今回紹介できたらいいんじゃないかと。
刺身を使うってことは、火を使わないから時短になるのはもちろん、面倒だったり失敗しそうな工程が少ない、つまり魚料理入門編向きとも言えます。
それになにより、刺身をそのまま食卓に出すのとは違う特別感が出て、たまに食べると素直にうれしいと思うんですよねぇ。
作り方はいたってシンプル!一人5~6切れの刺身を用意して、ごま小さじ2を擂鉢に入れて半ずりにします。そこに醬油小さじ2、煮切ったみりん大さじ1/2を加えて混ぜたら、あとは食べる直前に刺身と和えます。
三つ葉の軸の部分をキッチンバサミで小さく切って加えると、香りも彩りもよくなるのでぜひやってみてほしいです。
最後に鯛茶漬けを美味しく仕上げるコツを少しまとめますと、まず、お茶漬けにかけるのはだし汁である必要はなく、お茶で十分美味しいと思います。ちなみに僕は濃いめの緑茶推し。また、鯛の刺身が冷たいので、鯛を山盛りにするとお茶漬けがぬるくなってちょっと残念…。なので、お茶を多めにするか、小盛で何杯かに分けて食べるか、温度に気を配ったバランスで盛ると良いと思います。
文中に「煮切りみりん」が登場しました。作り方は耐熱容器にみりんを入れ、600Wで30~40秒ほど加熱すればできあがります。鯛の風味はあんがい繊細なので、みりんのアルコールの香りを飛ばして無くしたほうが、仕上がりがぐっと美味しくなるのでぜひやってみてください。それから、薬味の三つ葉は、細ねぎやあられに置き換えても美味しいと思います。
(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク
2020年2月10日
第62回 つみれ?つくね?
2020年2月1日
2月の食材「しじみ」
寒しじみの味噌汁で、
自分好みのうま味を知るの巻
その日のご飯の汁物が“しじみの味噌汁”だと、娘が高確率で「おかわりある?」と聞いている気がします。天然の出汁かとか、体にいいとか、全く考えてないだろうから、ただうまいんだろうなぁ、こういううまさが好きなんだなぁと、一生懸命小さな貝の身を食べる姿を眺めながら僕は考えていたりします。
世の中に「うまいもの」はたくさんあります。僕もコンビニをうろうろして気になるものを買ってみるけれど、だいたい良くできていてうまい。そんな食品を手軽に買えることってありがたいなと思う反面、どの食品も見事にうま味が強いから、細かい加減が少し分かりにくくなっている気もしています。それじゃあせっかくの「食べる」という楽しみの幅を逆に狭めることすらあるかもしれない…とも。
たまにはシンプルな食べ物を、その素材ならではのうま味の強さ・余韻の残り具合・後味のすっきり度など、考えをめぐらせながら味わってみてほしいなと思います。あらためて自分の好みの美味しさ、うまみの加減の輪郭がはっきりして、料理や食事の楽しみ方のヒントになるはずなので。
それでは、ここからはそのシンプルなうま味たっぷり、しじみの味噌汁の作り方を簡単に。 500mlの水に昆布を入れて30分ほどおいて味をひきだしやすくしておき、火にかける直前に洗ったしじみを加えます。
火加減は弱めの中火くらいで、いきなり沸騰させるのではなく、じんわりとあたためていき、しじみと昆布から旨みを引き出します。沸いたらアクを丁寧に取り、昆布も取り出します。そこへ味噌大さじ2、酒大さじ1ほどを加えたら完成、むずかしいことはありません。仕上げには好みで粉山椒をふってください。
ちょっと専門的な話になりますが、昆布のグルタミン酸としじみのコハク酸の合わせ技で、【うま味の相乗効果】なるものが発動し、感じるうま味の強さが倍増すると言われています。もちろん昆布なしでも作れるけれど、口にしたときの飲みごたえも、余韻がありつつもすっきりとした後味も、どちらもかなえてくれるので、ぜひ一度おためしを。
水500mlに対してのしじみの分量は200gほど。また、しじみは冷凍するとうま味が増すよ!といたるところで聞きますが、確かにうま味は増すけれど、若干泥臭さが出てくることもあるので好みにもよるかなと。冷凍せずに昆布を合わせてうま味を倍増する、これがいちばんな気がしている冨田なのでありました。
(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク
2020年1月10日
第61回 ウィンクのかめパン
2020年1月1日
1月の食材「新海苔」
アルミホイルで包むからこそ
しっとり旨み濃い海苔の味
アルミホイルで包んだおにぎり。いろどりは良くないし、アルミホイルが絶対くしゃくしゃになるので、「映え」させるのはなかなか難しい。でも、今回僕が紹介したいのは、超おすすめ弁当とも言える、その「アルミホイル包みのおにぎり」です。
ラップに包んだおにぎりを持っていく人も多いけれど、比較検証好きの僕は、包むものだけ変えて数時間おいたおにぎりを食べ比べてみましたが、ラップよりもアルミホイルに包んでいたものの方が確実に美味しい!と思いました。
アルミの効果で保温もほんのりとされつつ、ゆっくりと冷めたおにぎりは、米もべちゃついていなくて、やわらかくなった海苔の旨味は濃く、味付けが塩だけでも味わい深いんです。
それに、おにぎりって、「お腹減った!米食べよ」っていう、ストレートな食べ物でもあるからか、かっこつけないのが似合うんじゃないかな。
参考までに僕の握り方を紹介すると、ご飯は炊きたて、海苔は全形を用意します。全形の海苔は正方形に見えて若干長さが違うので、長い側面を三等分にハサミで切り、ざらざらした面を上に乾いたまな板などに置いておきます。
ご飯を茶碗に取ったら、手を冷水に浸して温度を下げてから、清潔な布巾で軽く水気を拭き取り、塩を手の平に広げます。これをやっている間に茶碗のご飯が少し冷めるので、そうなれば三角に握ります。握ったおにぎりを海苔の中央あたりに乗せて、奥と手前からはさめば出来上がり。粗熱がとれたらアルミホイルに包みましょう。
はじめに「映えない」と書いてしまったけれど、ある意味とてもかわいいというか趣のあるものかもしれないと思うのは、駅のホームの学生がアルミホイルから取り出したおにぎりを食べているところを見かけたことがあるけれど、食べてエネルギーをチャージしているということが、分かりやすく伝わってくるんですよね。毎日を頑張ってる感じが、いいなぁと思うんです。
ちょうど今は新海苔の季節で、香り良く、やわらかめなのが特徴でもあります。ぜひ海苔の旨味たっぷりのアルミホイル包みおにぎりを鞄にしのばせて出かけましょう。
そんなわけで、おにぎりの海苔の好み(パリパリ派orしっとり派)を決めるのは、ぜひラップじゃなくてアルミホイルで包んだものを食べてからにしてほしい!なんて思っています。また、海苔は産地よって、味わいや香り、口どけなどの特徴に差があるので、いろいろ買って比べてみるのもいいかもしれませんね!
(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク
2019年12月10日
第60回 みかづきとまんげつのプレート
2019年12月1日
12月の食材「かわはぎ」
たまにはさっぱり系のお鍋で、
かわはぎと野菜の美味しさを堪能!
スーパー散策が趣味でして、冬がはじまると、拡大した鍋つゆコーナーに必ず行ってみます。ほほぅ、このメーカーは去年のあの商品が売れず、差し替えてきたな…なんて思いをめぐらし、手を替え品を替え、新しく出てくる鍋つゆ商品を吟味します。
「トマト鍋」や「カレー鍋」が流行ったときには買って試してみましたし、それを受けて「これが白ごはん.com流のトマト鍋や!」と、カッコつけて家族にふるまったりもしました(笑)。こんな風に、家のご飯のバリエーションが増えることって、楽しくていいなぁと思います。鍋料理って、ちょっと気を抜くとマンネリ化しがちなので余計です。
さて、鍋料理で僕からひとつ提案できることがあるとすれば、冷凍もできて手軽だから、つい豚肉や鶏肉を鍋の具にすることも多いと思うけれど、それをごそっと魚介に置き変えてみませんかってこと。いつもとはひと味違う、クリアで旬のつまった味わいの鍋が楽しめるからです。
冬の時期は「かわはぎ」が特におすすめ。白菜や長ねぎなんかの淡白な野菜と相性ばっちりの白身で、骨から身もはずれやすくて食べやすい魚です。
野菜は、白菜、長ねぎ、大根と人参は柔らかくなりすぎないよう棒状に切ります。他には、きのこ類に豆腐やちくわ、それから、くず切りや餅巾着なんかも嬉しいかも。さっぱり系の鍋なので満足感のあるものや食べる人が好きなものを脇役具材としてたっぷりと用意しましょう。
まずは土鍋に水と昆布1~2切れを合わせ、昆布の味を出しやすくするため30分ほど置くので、その間に下ごしらえを進めます。かわはぎは1尾を半分に切って、鍋に湯を沸かし、身をさっと落として霜降りします。身全体が白くなれば引き上げて、後は他の具と盛り合わせておけばOK。ちょっとしたことですが、これで臭みが抜けるんです。
食卓についたら、大根、にんじん、白菜の芯、長ねぎだけを先に入れて火にかけ、沸いたら昆布を取り出します。あとは他の具材を入れ、火が通ったものから順にポン酢につけていただきましょう。鍋料理だと、プリッとしたかわはぎの美味しさが手軽に味わえるところがいい!
最後の〆はやっぱり雑炊かうどん。もし魚屋さんで「肝も入れとくよー」なんて嬉しい買い物ができていたならば、肝入りの味噌雑炊は美味しく食べやすいのでチャレンジの価値アリです。
かわはぎは下ごしらえで、ヒレをキッチンばさみを使って切っておくと、鍋で煮やすく、身も食べやすくなります。また、かわはぎを頭付きで購入できたなら、頭を切り落としてから、身と一緒に霜降りをして、鍋に一緒に加えましょう。美味しく食べることのできる身もたくさん付いていますし、出汁がより出るので〆の雑炊も美味しくなりますよ!
(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク
2019年11月10日
第59回 朝ごはんは食べるよ
2019年11月1日
11月の食材「ぶり」
挑戦しがいのある冬の定番煮物
これが作れたら自信がつくかも!
煮物が上手に作れたらうれしい。料理の腕が上がった気がするし、あったかくて美味しい煮物が食卓にあるとやっぱりうれしいから。煮物って、豪華な食材を使わずとも幸福度を上げてくれる、いい料理だなと思ってます。
その反面、煮物と言えばちょっとハードルが高いと思われがち。そんなイメージは、失敗と成功を理由も分からぬまま闇雲に繰り返しがちなところからくるんじゃないかなぁ。なので、まずは少し頭を整理してから料理にはいりましょう。
煮物と一口に言ってもさまざまで、大きなポイントに「完成時にどのくらいの煮汁を残すか」ということがあります。
今回紹介するぶり大根は、筑前煮などと同じで、はじめの汁量から1/5位まで煮詰めた状態が完成形ですが、おでんや高野豆腐の含め煮などの汁気たっぷりの煮物もあります。
汁気たっぷりの煮物は、飲んでちょうどいい味の煮汁で、弱火でことこと煮含めるものが多く、汁が多い=具材に火が通りやすい。煮汁の味を具材にしみこませるのが得意な煮物とも言えます。
対して、煮汁を煮詰めながら仕上げる、つまり、具材に火を通すのに必要な量の煮汁は入れて、そこから汁気を飛ばしてちょうどよい味付けにする煮物は、徐々に煮汁の味が変化していく難しさがあります。
この違いをおさえて、いざ、旬のぶりのアラで作る「ぶり大根」を作っていきましょう。
先ほど書いた通り、ぶり大根は煮詰めていく方です。まずは鍋の底に切った大根を広げ、その上に霜降りしたぶりのアラを乗せ、たっぷりの酒と具材の高さの8割ほどの水を入れます。落し蓋をするから汁気は8割くらいで十分、煮詰めることを考えて水は入れすぎないように。
落し蓋をして火にかけ、沸いたらアクを取ってそのまま15分煮て、大根にしっかり火を通しましょう。
さぁここからが肝心の味付け。大根に少しでも味をしみこませたいので、砂糖→醤油の順で時間差をつけて入れましょう。まずは砂糖を入れて5分、醤油を入れて5分、さらに落し蓋を取って5~8分ほど煮て完成。汁気を飛ばしたいから、火加減は中火かそれより少し弱い位で。
作り慣れるまでは、調味料を控えめに入れて仕上がり5分前位に味をみて、好みの加減に調味料を足してもいいかも。初心者向きとは言えないけれど、美味しく煮詰めるぞ!という気持ちで、是非この冬のド定番和食に挑戦してみてください。
ざっと詳しい材料を!ぶりアラ500gを用意して塩小さじ1をまぶし、15分おいてから霜降りします。大根は1/2本ほど。鍋に具材を入れたら、酒100mlを加え、そこに水400~500ml位でちょうど8割ほどの高さになるかと思います。具材たっぷりなので、いつもの料理よりは火加減強めで、鍋底いちめんに少し煮汁が残るくらいまで煮詰めてくださいね。
(c)冨田ただすけ
文・写真/冨田ただすけ
イラスト:(c) こやまこいこ / コルク